歯がボロボロすぎて歯医者に行けない方へ~麻酔専門医が教える不安の解消法

2026/01/16

「歯がボロボロすぎて、もう歯医者に行けない…」
そんな悩みを抱えている方は、決してあなただけではありません。
実は、歯がボロボロになってしまう背景には「歯科恐怖症」という医学的な理由が隠れていることが多いのです。過去の痛い経験や、治療への恐怖心から、歯医者に足が向かなくなってしまう。そして気づいた時には、歯がボロボロに…。
でも、安心してください!
現代の歯科医療には「静脈内鎮静法」という麻酔技術があり、ほぼ眠っているような状態で治療を受けることができます。恐怖心や痛みをほとんど感じることなく、ボロボロになった歯を治すことが可能です。
この記事では、日本歯科麻酔学会登録医・歯科恐怖症学会専門医の立場から、なぜ歯医者に行けなくなってしまうのか、そして不安なく治療を受けるための具体的な方法を解説します。

なぜ歯がボロボロになるまで放置してしまうのか

「歯医者に行かなきゃ」と思いながらも、なかなか予約できない。そんな状況が続いて、気づけば歯がボロボロに…。この状態に至るまでには、いくつかの明確な理由があります。

主な理由は「恐怖」と「痛みの記憶」

歯科治療を避ける最大の理由は「恐怖」です。具体的には、以下のような経験がトラウマになっているケースが大半です。

  • 子どもの頃に痛い治療を受けた経験
  • 麻酔が効かず、痛みに耐えた記憶
  • ドリルの音や振動への強い嫌悪感
  • 口を開けている時の無防備な感覚への恐怖

これらは単なる「気持ちの問題」ではなく、実際に医学的にも認められている症状なのです。

ボロボロな歯を見せるのが恥ずかしい

「こんなにボロボロの歯を見せたら、怒られるのではないか…」

この不安は、多くの患者さんが口にします。

歯がボロボロになればなるほど、恥ずかしさが増していき、「もう少しマシになってから行こう」と先延ばしにしてしまう。結果として、さらに悪化する悪循環に陥ります。

でも、私たちは決して患者さんを責めません。

むしろ、勇気を出して来院されたことを尊重します。

特に痛みがないから歯医者にいかない

虫歯が進行しても、必ずしも痛みが出るわけではありません。

神経が死んでしまうと、逆に痛みを感じなくなります。「痛くないから大丈夫」と思っていると、実は根の先で感染が広がっていることも珍しくありません。

痛みがない=問題ないではないのです。

歯医者に行く時間がない

仕事や育児に追われて、歯医者に行く時間が取れない。

この理由も、非常に多く聞かれます。特に働き盛りの世代では、平日に時間を作ることが困難です。

ただし、放置すればするほど治療期間は長くなります。早めの受診が、結果的に時間の節約になることを知っておいてください。

結果として生まれる「悪循環」

恐怖や恥ずかしさから歯医者を避ける → 症状が悪化する → さらに行きづらくなる → 歯がボロボロに

この悪循環から抜け出すには、適切なケアと定期的な歯科医院への通院が必要不可欠です。

歯がボロボロすぎる状態を放置するリスク

歯を失う可能性がある

虫歯が進行する

虫歯は自然治癒しません。

放置すれば、確実に進行します。エナメル質から始まった虫歯は、象牙質、そして歯髄(神経)へと到達し、最終的には歯の根まで破壊されます。

そうなると、抜歯以外の選択肢がなくなってしまいます。

歯周病の悪化

歯周病は「静かな病気」と呼ばれます。

痛みがないまま進行し、気づいた時には歯を支える骨が溶けてしまっていることも。日本歯周病学会のデータでは、成人の約8割が何らかの歯周病を抱えているとされています。

感染のリスク

虫歯や歯周病による感染は、口の中だけの問題ではありません。

血流に乗って全身に広がり、心臓や脳に悪影響を及ぼす可能性があります。重症化すると、入院が必要になるケースもあるのです。

治療費が高くなる

早期発見・早期治療なら、保険診療で数千円で済む場合も多くあります。

しかし、ボロボロになった歯を治すには、根管治療やセラミック治療、インプラントなど、高度な治療が必要になります。結果として、治療費は数十万円〜数百万円に膨れ上がることも珍しくありません。

「もっと早く行っておけば…」という後悔の声を、私は何度も聞いてきました。

全身の健康に影響を与える

歯の健康と全身の健康は、密接に関係しています。

虫歯や歯周病の細菌が血流に入ると、以下のような疾患のリスクが高まることが分かっています。

  • 心臓病のリスク増加
  • 糖尿病の悪化
  • 誤嚥性肺炎の危険性
  • 認知症との関連

口は、全身の健康の入り口なのです。

日常生活に支障がでる

歯がボロボロになると、食事を楽しめなくなります。

硬いものが噛めない、好きなものが食べられない。栄養バランスが崩れ、体力も低下していきます。また、口臭が気になって人と会話するのが億劫になる方も多くいらっしゃいます。

生活の質(QOL)が著しく低下してしまうのです。

第一印象に影響がでる

人は、初対面の相手の印象を数秒で判断すると言われています。

その際、最も見られるのが「口元」です。歯がボロボロだと、どうしてもネガティブな印象を与えてしまいます。ビジネスシーンでも、プライベートでも、自信を持って笑えないのは大きな損失です。

歯科恐怖症とは何か~診断基準と実態

歯科恐怖症の定義

「歯科恐怖症」は、正式な医学的診断名です。

歯科治療に対して過度な恐怖や不安を感じ、治療を回避してしまう状態を指します。日本歯科麻酔学会では、以下のような症状がある場合に診断されます。

  • 予約日が近づくと動悸や発汗が起きる
  • 待合室にいるだけで呼吸が苦しくなる
  • 過去のトラウマがフラッシュバックする
  • 治療台に座ることすらできない

これは「気合いが足りない」といった精神論で解決できる問題ではなく、適切な医療的サポートが必要なのです。歯科恐怖症が原因で長年、歯科医院に通えず、歯がボロボロになってしまう患者さんも少なくありません。

実は珍しくない症状

成人の約10〜15%が、何らかの形で歯科恐怖症の症状を持っているとされています。

つまり、10人に1人以上です。あなただけが特別なわけではありません。私が歯科恐怖症学会の専門医として診てきた患者さんの中には、20年以上も歯医者に行けなかった方もいらっしゃいます。

歯がボロボロの方へ~静脈内鎮静法という選択肢

「ほぼ寝ている状態」で治療を受けられる

「静脈内鎮静法」は、歯科恐怖症の方にとって画期的な解決策です。

点滴から鎮静薬を投与することで、意識を保ちながらもリラックスした状態を作り出します。全身麻酔とは異なり、呼びかけには応じられる程度の意識はありますが、恐怖や不安、痛みをほとんど感じません。

多くの患者さんは「気づいたら終わっていた」「夢を見ているようだった」とおっしゃいます。

どんな人に向いているか

静脈内鎮静法は、以下のような方に特におすすめです。

  • 歯科恐怖症の診断を受けている方
  • 過去にパニック発作を起こしたことがある方
  • 嘔吐反射が強く、治療が困難な方
  • 一度に多くの治療を済ませたい方
  • ドリルの音や振動が耐えられない方

歯がボロボロになってしまった方の多くは、これらの条件に当てはまります。

歯医者が怖くて虫歯だらけ。そんなあなたを救う「静脈内鎮静法」という選択肢

当院では生体モニターによる心拍数・血圧・酸素飽和度の常時監視、緊急時対応設備の完備、日本歯科麻酔学会登録医による管理、そして術前の詳細な問診と健康状態の確認を徹底しています。

歯がボロボロすぎて歯医者に行けない人におすすめな歯医者の選び方

歯医者選びは、治療の成否を左右する重要な要素です。

総合的な治療ができる

歯がボロボロの状態では、複数の専門分野にまたがる治療が必要になることがほとんどです。

  • 虫歯治療
  • 根管治療
  • 歯周病治療
  • 補綴治療(セラミックや入れ歯など)
  • 必要に応じてインプラント

これらを総合的に提供できる歯科医院を選ぶことが肝心と考えます。

重度の症例にも対応できる

一般的な歯科医院では、対応が難しい症例もあります。

以下のような設備や体制があるか確認しましょう。

  • マイクロスコープの導入
  • CT撮影が可能
  • 静脈内鎮静法に対応
  • 歯科麻酔医が在籍

当院は日本障害者歯科学会にも所属しており、特別な配慮が必要な患者さんにも対応しています。

丁寧な説明をしてくれる

治療内容、期間、費用について、明確に説明してくれる歯科医院を選びましょう。

専門用語ばかりで分かりにくい説明ではなく、患者さんの目線に立った説明ができるかどうかが重要です。質問しやすい雰囲気があるかも、チェックポイントです。

不安な点は、遠慮なく聞いてください。

個室の診療室がある

「他の患者さんに、ボロボロの歯を見られたくない…」

この気持ちは、とてもよく分かります。個室の診療室であれば、プライバシーが守られ、リラックスして治療を受けることができます。

すぐに高額な自費治療を提案してくる歯科医院には注意しましょう

歯がボロボロの状態だと「すぐに高額な治療が必要です」と言われることがあります。

しかし、本当にそれが最善の選択肢なのか、慎重に見極める必要があります。

まずは保険診療でできることを最大限に行い、その上で自費治療が必要な場合は、明確な理由と複数の選択肢を提示してくれる歯科医院が信頼できます。

「すぐに全部セラミックにしましょう」「インプラントしかありません」といった断定的な提案には、注意が必要です。

格安で提供している医院の中にも、術前評価を徹底し、良好な経過を得ている例はあります。ただし、安さだけで選ぶのは避けた方が賢明です。

当院では、まず保険診療でできる範囲を説明し、その上で自費治療のメリット・デメリットを丁寧にお伝えしています。最終的な判断は、患者さんご自身にしていただきます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 歯がボロボロすぎて、歯医者で怒られませんか?

A. 絶対に怒ることはありません。当院では、日々さまざまな症例を診ており、どんな状態でも驚きません。むしろ、勇気を出して来院してくださったことに敬意を払います。歯がボロボロになった背景には、歯科恐怖症や過去のトラウマなど、医学的な理由があることを理解しています。一緒に解決策を見つけていきましょう。

Q2. 歯がボロボロでも治療できますか?もう手遅れではないですか?

A. 諦める必要はありません。どんなにボロボロの状態でも、治療方法は必ずあります。当院ではマイクロスコープを用いた精密な根管治療や、セラミック治療を駆使して、可能な限り歯を残す治療を行っています。確かに抜歯が必要なケースもありますが、その場合もインプラントや入れ歯など、機能回復の選択肢をご提案します。まずは現状を正確に把握することが重要です。

Q3. 治療中に痛みを感じたらどうなりますか?恐怖で耐えられません

A. 静脈内鎮静法を使用すれば、ほぼ眠っているような状態で治療を受けられます。恐怖心や痛みをほとんど感じることなく、「気づいたら終わっていた」という方がほとんどです。万が一、治療中に不快感があれば、すぐに手を止めて対応します。歯科恐怖症の方でも安心して治療を受けていただける体制を整えています。

Q4. 歯がボロボロの状態だと、費用が高額になりますか?

A. 確かに、進行した虫歯や歯周病の治療には、それなりの費用がかかります。保険診療で対応できる範囲もありますが、セラミックやインプラントなど自費診療が必要な場合は数十万円〜数百万円になることもあります。ただし、初回カウンセリングで詳細なお見積りをお出しし、保険診療と自費診療の違いを丁寧に説明します。デンタルローンや分割払いにも対応していますので、無理のない範囲で治療計画を立てましょう。

Q5. 1回の治療でどれくらい進みますか?何度も通うのが不安です

A. 静脈内鎮静法を使用すれば、1回の治療で複数本の歯を同時に処置することが可能です。通常であれば数回に分けて行う治療を、集中的に進められます。お仕事で忙しい方や、通院回数を減らしたい方には特におすすめです。治療期間は症状によりますが、一般的には3〜6ヶ月程度です。効率的な治療計画をご提案しますので、ご安心ください。

医師からのメッセージ

私たちは、あなたの不安に寄り添い、一緒に解決策を見つけるパートナーです。歯科恐怖症学会の専門医として、また日本歯科麻酔学会の登録医として、安全で快適な治療を提供することが当院の使命だと考えています。

また、顕微鏡歯科学会や日本歯周病学会での経験を活かし、精密な根管治療やセラミック治療も得意としています。可能な限り、天然歯を残す治療を心がけています。

歯がボロボロでお困りの方、過去、歯科治療で嫌な経験をお持ちの方はぜひ一度当院にお気軽にご相談ください。

渡辺 敏光

著者

渡辺 敏光

副院長 / 麻酔専門医

昭和大学卒業後、インプラント/歯周病専門クリニックで研修を修了。昭和大学歯科病院歯科麻酔科に入局し、全身麻酔、静脈内鎮静法、静脈麻酔、笑気吸入鎮静法などを実施。2012年よりマリコ歯科クリニックに勤務。日本歯科麻酔学会登録医、歯科恐怖症学会専門医の資格を有する。顕微鏡歯科学会、日本障害者歯科学会、日本歯周病学会にも所属。

マリコ歯科クリニック
代々木駅
徒歩 1

〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-23-2-2F

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