2026/02/17
「奥歯が痛いのに、歯医者で虫歯はないと言われた」「何もしていないのに奥歯がズキズキする」そんな経験はありませんか。
奥歯の痛みの原因は、虫歯だけではありません。歯周病・歯根破折・副鼻腔炎・ストレスなど、歯科と全身にまたがる多様な原因が存在します。原因を正しく把握しないまま放置すると、症状が悪化し、最終的に歯を失うリスクにもつながります。
この記事では、渋谷・千駄ヶ谷のマリコ歯科クリニック副院長・渡辺敏光(静脈内鎮静法・精密根管治療担当)が、奥歯が痛む11の原因を「歯・歯茎に起因するもの」と「歯以外に起因するもの」に分けてわかりやすく解説します。夜に痛みが増す理由、応急処置の正しい方法、受診すべきタイミングまでまとめましたので、ぜひ最後までご確認ください。

奥歯の痛みは、医学的に「歯原性歯痛」と「非歯原性歯痛」の2つに分類されます。
歯や歯茎そのものに問題があって生じる痛みです。虫歯以外にも、歯周病・歯髄炎・知覚過敏・親知らず・歯根破折などが含まれます。
歯や歯茎に明らかな異常が見られないのに痛みを感じる状態のことです。筋肉の疲労・副鼻腔炎・神経痛・ストレスなどが原因になります。
この分類を知っておくことが非常に重要です。なぜなら、非歯原性歯痛の場合、歯の治療を行っても痛みが改善しないからです。「痛みを訴えるから」という理由だけで神経を抜いたり抜歯したりすると、原因が解消されないまま歯だけを失う結果になりかねません。歯を削る・神経を抜く・抜歯といった処置は不可逆的なため、まず正確な原因の特定が必要です。

歯周病は、細菌が歯と歯茎の境界に侵入し、歯を支える組織(歯槽骨)を少しずつ溶かしていく病気です。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると噛んだときに奥歯が痛む、歯茎が赤く腫れる、出血する、歯がぐらつくといった症状が現れます。
治療はスケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯根面の清掃)が基本となり、進行度によっては歯周外科手術が必要になる場合もあります。放置すると歯槽骨の吸収が進み、最終的に歯が抜け落ちてしまうため、早期の受診が大切です。
当院では保険診療の範囲内で歯周基本治療を行っており、状態に応じた治療計画をご提案しています。
歯の内部にある神経(歯髄)が細菌に感染して炎症を起こした状態が歯髄炎です。ズキズキとした拍動するような強い痛みが特徴で、何もしていないときにも痛みを感じることがあります。さらに進行すると、歯の根の先端に膿がたまる根尖性歯周炎へと移行します。
治療には根管治療(神経の除去と管の清掃・消毒・充填)が必要です。当院では顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた精密根管治療を行っており、肉眼では確認できない細部まで丁寧に処置しています。
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歯のエナメル質がすり減ったり、歯茎が退縮して象牙質が露出したりすると、冷たい飲み物や歯磨きの刺激で「しみる」「キーンと痛む」感覚が生じます。これが知覚過敏(象牙質知覚過敏症)です。
歯ぎしり・食いしばり・過度なブラッシング・酸蝕歯(酸で歯の表面が溶けた状態)などが主な原因です。知覚過敏用の歯磨き粉の使用やフッ素塗布でセルフケアが可能なケースもありますが、原因となる歯周病や歯ぎしりの治療が根本的な対処となります。
親知らずが横向きや斜めに生えると、隣の歯を圧迫したり、歯茎との間に汚れがたまりやすくなります。そこに細菌が繁殖して炎症を起こした状態が智歯周囲炎です。奥歯の一番奥がズキズキ痛む、歯茎が腫れる、口が開けにくいなどの症状が現れます。
重症化すると顔が大きく腫れ、入院治療が必要になるケースもあります。抗生物質の投与や口腔内の洗浄で急性症状を落ち着かせたうえで、多くの場合は抜歯の適応となります。
過去に神経を抜いた歯や、金属の被せ物が入っている歯は、歯質が脆くなりやすく、強い力がかかったときに歯の根が割れることがあります。これを歯根破折といいます。
最初は噛んだときの違和感程度ですが、徐々に痛みが増し、歯茎の腫れや膿が出るようになります。見た目ではわかりにくく、通常のレントゲンだけでは発見が難しいため、CTによる精密検査が必要です。破折の状態によっては保存が困難で、抜歯となる場合もあります。
歯の根と顎の骨の間にある薄い膜「歯根膜」に炎症が起きると、噛んだときに強い痛みを感じたり、歯が浮くような感覚が生じます。原因は虫歯・歯周病・外傷など多岐にわたりますが、歯ぎしりや食いしばりによる過度な力が継続的にかかることでも発症します。
刺激を与えなければ徐々に症状は落ち着きますが、根本原因を取り除かないと再発を繰り返すため、原因に応じた治療が必要です。
噛み合わせのバランスが崩れると、特定の奥歯に過度な負担が集中し、歯根膜炎や顎関節症を引き起こすことがあります。また、歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばりは、起きている間だけでなく睡眠中にも無意識に行われており、歯や顎関節への慢性的なダメージの原因になります。
本人が気づいていないことも多く、歯の磨耗・被せ物の破損・顎の疲れ・奥歯の鈍い痛みなどのサインがあれば、一度歯科で確認を受けることをおすすめします。ナイトガード(マウスピース)の使用や噛み合わせの調整が有効な場合があります。


食いしばりや歯ぎしりの習慣、長時間の緊張状態が続くと、顎を動かす筋肉(咬筋・側頭筋など)に疲労が蓄積します。この筋肉疲労が「トリガーポイント(筋肉のしこり)」を生み出し、奥歯やこめかみ・肩にまで痛みが広がることがあります。これを筋・筋膜性歯痛といいます。
歯に原因がないため、歯の治療を行っても改善しません。マウスピースの使用や筋肉のストレッチ、生活習慣の改善が有効です。
上顎の奥歯の根は、鼻の横にある空洞「上顎洞」に非常に近い位置にあります。そのため、副鼻腔炎(蓄膿症)で上顎洞に炎症や膿がたまると、上の奥歯全体が痛むことがあります。
鼻づまりや黄色い鼻水を伴うことが多く、頭を前に傾けると奥歯の痛みが増す場合は副鼻腔炎の可能性が高いです。この場合は耳鼻咽喉科での診察が必要ですが、まず歯科を受診して歯由来の問題がないかを確認するのが一般的な手順です。
強いストレスや不安が続くと、自律神経のバランスが乱れ、痛覚が過敏になることがあります。歯や歯茎に異常がないにもかかわらず慢性的に奥歯が痛む場合、心因性の関与が考えられます。
また、ストレスは無意識の食いしばりや歯ぎしりにも直結するため、間接的に奥歯のダメージを引き起こすことも少なくありません。歯科と心療内科が連携して対応するケースもあります。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経が刺激されることで、奥歯や顔面に電撃的な鋭い痛みが走る状態です。また、まれなケースですが、狭心症や心筋梗塞による「放散痛」として、左下の奥歯や顎に痛みを感じることがあります。
このような症状は通常の歯科治療では改善しません。奥歯の痛みが長引く、または胸部症状を伴う場合は、速やかに内科・神経内科へのご相談も視野に入れてください。

「日中はなんとか我慢できるのに、夜になると奥歯の痛みが急に強くなる」という経験を持つ方は多くいらっしゃいます。これにはいくつかの生理学的な理由があります。
横になると血液が頭部方向に集まりやすくなり、血管が拡張して歯の神経が圧迫されます。また夜間は副交感神経が優位になることで血管がさらに広がりやすく、炎症部位への血流が増加して痛みを強く感じやすい状態になります。加えて、入浴後の血行促進や、睡眠中の無意識の歯ぎしり・食いしばりも夜間の痛みを悪化させる要因です。
日中は仕事や会話など外部への注意が向いているため痛みを感じにくい面もありますが、就寝時は痛みに意識が集中しやすくなるという心理的な側面も影響しています。

歯科を受診するまでの間、以下の方法で痛みをある程度やわらげることができます。ただし、いずれも一時的な対処であり、根本的な治療にはなりません。痛みが落ち着いたとしても、必ず歯科医院を受診してください。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの消炎鎮痛薬は、歯の痛みに対してある程度の効果が期待できます。添付文書の用法・用量を守り、空腹時の服用は避けましょう。なお、痛み止めはあくまで症状を一時的に抑えるものであり、原因の治療にはなりません。
頬の外側から冷やしたタオルや保冷剤(タオルに包む)を当てることで、炎症を軽減し痛みをやわらげる効果が期待できます。1回につき15〜20分を目安とし、冷やしすぎには注意してください。直接氷を口の中に当てたり、患部を温めたりするのは逆効果になる場合があります。
細菌の増殖が痛みを悪化させているケースでは、歯磨きやうがいで口の中を清潔に保つことが有効です。ただし、患部を強くこすることは避け、やさしくケアしてください。殺菌作用のあるうがい薬の使用も効果的です。

以下の行動は炎症を促進させ、奥歯の痛みを悪化させる可能性があります。
入浴(シャワーは可)・サウナ・激しい運動・飲酒はいずれも血行を促進し、炎症部位への血流を増やして痛みを強める原因になります。
舌や指で痛む部位を繰り返し触る、患部側で硬いものを噛む、歯を強く噛み締めるなどの行動は症状を悪化させます。
喫煙は歯周組織の免疫機能を低下させ、回復を遅らせます。

奥歯が痛む場合、まず受診すべきは歯科医院です。「虫歯ではないかもしれない」と自己判断して受診を先延ばしにするのは避けてください。被せ物の下に隠れた虫歯・歯根破折・歯周病など、外見からはわからない問題が多く存在します。
歯科での検査で歯由来の問題が否定された場合、副鼻腔炎が疑われれば耳鼻咽喉科、神経痛や頭痛が関連していれば神経内科・脳神経外科、ストレスや心因性の関与が考えられれば心療内科との連携が必要になることもあります。どの診療科を受診すればよいかわからない場合も、まずは歯科へご相談ください。

マリコ歯科クリニックは、東京都渋谷区千駄ヶ谷に位置する歯科クリニックです。奥歯の痛みでお悩みの方に対し、以下の3つの強みをもって対応しています。
肉眼では確認できない歯根の微細な状態まで正確に把握し、歯をできる限り残す治療を行います。
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「痛いのが怖くて歯科に行けない」という方のために、静脈内鎮静法(うとうとした状態で治療を受けられる鎮静法)を提供しています。副院長は昭和大学歯科病院 歯科麻酔科にて全身麻酔・静脈内鎮静法・笑気吸入鎮静法を習得しており、歯科恐怖症学会専門医の資格を有しています。
→ 静脈内鎮静法についてはこちら
奥歯の痛みの原因は多岐にわたります。当院では初診時の精密検査(レントゲン・必要に応じてCT)をもとに原因を特定し、歯周病・根管治療・噛み合わせ調整などを一貫して担当します。「何件行っても原因がわからない」という方もお気軽にご相談ください。

A. 虫歯がなくても奥歯が痛む原因は多数あります。歯周病・歯根破折・歯髄炎・知覚過敏・親知らずの炎症(智歯周囲炎)といった歯・歯茎由来のものから、筋肉疲労(筋・筋膜性疼痛)・副鼻腔炎・ストレス・三叉神経痛など歯以外に原因があるケースも少なくありません。精密検査によって原因を特定することが大切です。
A. 市販の消炎鎮痛薬の服用、頬の外側からの冷却(15〜20分を目安)、口腔内を清潔に保つことが応急処置として有効です。ただし、これらはあくまで一時的な痛みの緩和であり、原因の根本的な解決にはなりません。痛みが落ち着いた場合も、必ず歯科医院を受診してください。
A. 就寝時に横になると頭部への血流が増え、血管の拡張によって歯の神経が圧迫されやすくなります。また夜間は副交感神経が優位になり炎症が増悪しやすい状態となるほか、睡眠中の歯ぎしり・食いしばりも痛みを悪化させる要因になります。
A. 当院では静脈内鎮静法(点滴による鎮静で半分眠ったような状態で治療を受ける方法)を提供しております。歯科恐怖症の方や、痛みへの不安が強い方に多くご利用いただいています。副院長は昭和大学歯科病院 歯科麻酔科での勤務経験を持ち、歯科恐怖症学会専門医として対応しています。詳細はお気軽にご相談ください。
A. 原因によっては症状が急速に悪化する場合があります。歯髄炎は神経が壊死し根尖性歯周炎(根の先への膿の広がり)へ移行するリスクがあり、歯周病は歯槽骨(歯を支える骨)の吸収が進行して最終的に歯を失う可能性があります。また親知らずの炎症(智歯周囲炎)は重症化すると顔が大きく腫れ入院治療が必要になるケースもあります。早期に適切な診断・治療を受けることが、歯を守ることにつながります。

奥歯が痛い原因は、虫歯以外にも歯周病・歯髄炎・知覚過敏・親知らず・歯根破折・歯根膜炎・歯ぎしりといった歯由来のもの、そして筋肉疲労・副鼻腔炎・ストレス・神経痛など歯以外に起因するものまで幅広く存在します。
原因によって必要な治療はまったく異なり、誤った対処を続けると大切な歯を失うリスクが高まります。「少し様子を見よう」と思いたくなる気持ちはわかりますが、奥歯の痛みはセルフケアで解消できないことがほとんどです。
渋谷・千駄ヶ谷エリアで奥歯の痛みにお悩みの方は、マリコ歯科クリニックへお気軽にご相談ください。精密検査のうえ、原因に応じた適切な治療をご提案します。
著者
渡辺 敏光
副院長 / 麻酔専門医
昭和大学卒業後、インプラント/歯周病専門クリニックで研修を修了。昭和大学歯科病院歯科麻酔科に入局し、全身麻酔、静脈内鎮静法、静脈麻酔、笑気吸入鎮静法などを実施。2012年よりマリコ歯科クリニックに勤務。日本歯科麻酔学会登録医、歯科恐怖症学会専門医の資格を有する。顕微鏡歯科学会、日本障害者歯科学会、日本歯周病学会にも所属。
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